木の十字架(神学院にあった楓の木より)

チャペルの豆知識

2017/04/20

キリスト教とチャペル

OVERVIEW

チャペルにまつわる豆知識をご紹介します。

有賀千代吉先生作製の十字架

現在の小学校のチャペルと講堂は1966年に完成しました。チャペルには備え付けの十字架がありますが、講堂の礼拝では元校長有賀千代吉先生が作製された木の十字架を祭壇に飾ります。今回はこの木の十字架について紹介させていただきます。

現在講堂は子どもたちによる劇の上演や学習発表の場として、また、全校児童で礼拝をおささげする場として用いられています(始業礼拝と終業礼拝、イースター礼拝、収穫感謝礼拝、聖パウロ回心日・小学校設立記念礼拝など。他に入学礼拝、卒業礼拝、記念礼拝)。その時に祭壇に飾られているのがこの木の十字架です。学校の記録には以下のように記されています。「神学校(今の池袋の体育館のある敷地 注:現在の立教池袋中学校・高等学校の敷地)にあったもみじの木を小学校に持ってきたら、枯れてしまったので、それをわたしが十字架に作ったものです。あのもみじは神学校を建てたときに植えたものです。」(伊藤高清編「立教小学校の教育の底に流れるもの」) 

また、学院展示館のDVD「立教小学校」では以下のナレーションが流れます。「現在の立教池袋・高等学校の敷地には昔、聖公会の神学校があり、そこにはもみじの木が立っていました。しかし、神学校が移転するときに、やむを得ず切り倒すことになります。当時、校長を務めていた有賀千代吉は『命あるものを大切にしたい』という思いからそのもみじの木を譲り受け、十字架として蘇らせました。それ以来、この十字架は池袋に聖公会の神学校があったこと、また、立教小学校が聖公会とつながっていることの証として大切にされてきました。ここ、立教小学校には聖公会から受け継がれたキリスト教の精神が、様々な形で残されているのです。」(立教学院展示館 DVD「立教小学校」ナレーションより)

十字架裏のプレート 「池袋の神学院跡の楓で造る 昭和三十三年十二月二十三日 有賀千代吉」

「立教学院の宗教教育は、小学校を設けることによって地に根をおろした木の如く力強く育つことであろう」
初代小学校校長・立教大学総長佐々木順三 (有賀千代吉著「立教小學校十年史」P4より)

戦争が終わって間もない1948年(昭和23年)小学校は設立されました。敗戦後の混乱期、多くの困難に直面しながらも神様の見守りのもと有賀千代吉先生はじめ教職員や学校関係者・保護者の方々のご努力により、本校は来年度70周年を迎えようとしています。

「民主国民を育てるには幼児から始めなくてはならぬ」(「立教小學校十年史」P8)という理想や設立の意図について知ることが、現在小学校に関わる我々にとっていかに大切であるか、改めて気づかせてくれるのがこの木の十字架です。

立教小学校教諭 遠山 章夫

〔『チャペルニュース』第589号2016年6・7月号/連載「チャペルのタカラモノご紹介します!」より〕

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